夢通信号外「人面犬物語」

先日の教育相談の時に、私の夢通信を楽しみにしていただいているという声が多数?ありました。そのご期待に応えて今回夢通信の号外が出ました。「ユーモアは最大の思いやり」が私のモットーです。笑いのあるところ、争いなし。笑いのあるところにこそ、個性ありです。
一昔前、人の顔に似た模様の魚を人面魚とか言って話題になったことがあります。人面魚から人面猫、人面ガエル、人面グモなどなど。元々、船を修理したり造ったりするための施設をドックと言います。(英語ではdock)そこから派生して、人が色々な検査をするために入る場所を人間ドックと言うようになりました。しかし時としてドックのことをドッグという人がいます。S中の教頭先生もその一人です。つまり人間ドックが人間ドッグ(dog)になり、これを訳せば人面犬ということになります。

12日の火曜日、私はこの人間ドックに行きました。三組の生徒には人面犬に行って来ると言いました。そうしたら、12日の生活ノートに次のように書いてくれた生徒がいました。「今日、根本先生は人面犬に行ってしまったので、S先生が来てくださいました。」
理科の時間に硫酸と水酸化バリウムを混ぜてできる白い沈殿を硫酸バリウムと言うと勉強しました。その時に、人間ドックの胃検診の話をしました。まずげっぷを発生させる発泡剤を飲まされ、げっぷをしないで下さいと言われる。そんな無茶苦茶な話はありません。うっかりげっぷをすると、もう一杯飲まされます。

いよいよ、バリウム(正しくは硫酸バリウム)を飲む時が来ました。最近はヨーグルト味が多いようです。以前はチョコレート味というのもあったそうです。最初の一口飲んで一瞬うまいと思った次の瞬間「オエッ」とします。それをごくごく300CC位でしょうか、飲み干します。「うーまずい、もう一杯」とお代わりする人はいないのでしょうか?
さあ、いよいよ次は宇宙遊泳の時間です。手すりにつかまりながら、横になったかと思うと、次はまっ逆さまになりました。腕の力のない人で転落する人はいないのかと疑問に思うほど、結構力が必要です。必死につかまります。体の向きをあちこち変えながら、逆さまになりながら、腹の中のバリウムがトップントップンと、胃袋の中で踊ります。こうして楽しい?宇宙遊泳の時間は無事に終わり、二錠の下剤をもらって飲みました。

その後間もなく、下剤が効いてきたのか腹がゴロゴログーグー鳴り始めました。しかし、そんなとき今度は聴力検査です。ピーと音が鳴るのが聞こえたらボタンを押すというものです。ヘッドホンを付け、耳をすましていると「ピー」と鳴ったので素早く右手でボタンを押しました。ところがその直後から私のお腹が絶叫し始めます。よりによってこんな時に、バリウムが早く外に出たいと訴えかけてきました。その訴える悲痛な音が「ピー」という音を打ち消します。今度こそ聞き逃すまいと思い、耳を澄ましました。そろそろ「ピー」と聞こえるかと思った瞬間、「ゴロゴログー」という絶叫にまたしてもかき消されました。係りの人にもう結構ですと言われ外に出ました。もしかして私の診断書に「難聴」と書かれてしまったかも知れません。

便器を白銀?の世界に変える快感はまた来年までお預けです。今年も私の人面犬物語は終わりました。来年はどんなドラマが待っているか楽しみです。生徒達にも大人になる楽しみが一つ増えたねという話をしました。たかが人間ドック、されど人間ドッグ。自分の健康は自分で守りたいものです。

2002年2月13日