不安とつき合う4つの知恵

京都大学教授 広中平祐


1、どこまでが不可抗力からくる不安要素か、どこまでが自分の働きで取り除ける不安要素かをはっきり見分けることである。・・・もし現状を好まなければ変えようと努力せよ。もし変えられなければそれをそのままで楽しむ方法を見つけよ。

2、何をするにしても、最良の場合と最悪の場合をはっきり予測しておくことである。・・・最悪の場合だけ予想する人は、とかく自分に対する慰みが先行して積極性に乏しい。オプテイミズム(楽天主義)のないところに創造はないといわれるゆえんである。

3、遠大なビジョンを持つと同時に、目先のことをしっかりすることである。目先のことは、出たとこ勝負で結構うまくさばくが、長期的な指針はというとさっぱりな人もいる。指針のない努力は、長い年月の後“働き損のく たびれ儲け”といった嘆きの原因をつくる。・・・わりに小さな成功でも、それを積み重ねていけば、次第に自信が定着する。成功経験が自信を生み、自信が遠大なビジョンを支え、ビジョンが指針となって、さらに大きな成功経験をつくるというサイクルができあがることが一番望ましい。

4、ダイナミズムを育てること。ダイナミズムとは変化変動の陰には必ず力があるという考え方である。“失敗は成功のもと”であって、ちょうど、波の底が深ければ深いほど、次の盛り上がりは大きい。

広中氏は、ルーズベルト大統領がアメリカ大恐慌を乗り切るために人々に訴えた言葉「われわれが最も恐れなければならないのは、恐怖心そのものである」を取り上げて、現在もこの名言は通用しているというのである。私たちは、自分の人生をより確実なものにするために、いろいろな視点から、ものを考えていく必要がある。