蔓珠沙華(彼岸花) 

 ヒガンバナは、この花が秋の彼岸頃にきまって咲くというのでこの名があり一名マンジュシャゲの名も知られている。このマンジュシャゲという名は、法華経の「摩か 曼陀羅華 蔓珠沙華」から出た名で、摩かは梵語の大きいという意味で、花の美しさを強調したものといい、曼陀羅華(まんだらげ)は今の朝鮮アサガオを指し、また蔓珠沙華は梵語の赤い花を意味しています。
 
 全国の原野、路傍、田畔などに普通に見られるが、ことに墓場などに多いことからシビトバナ・ユウレイバナなどの地方名もあるし、また有毒植物であることから、シタマガリなどの名もある。有毒分は、鱗茎に含まれるリコリンなどのアルカロイド分をいう。リコリンには鎮咳作用があり薬用にもする。
 
 この有毒性を利用して、ネズミ退治にこの球根をつぶして壁に塗ったりした。また田の畦などに多いのも、ネズミ防ぎに昔植えたものらしく、墓地に多いのもネズミや害獣から墓を守る意味から植えられたらしい。それを物語るかのように、ヒガンバナは人家近くの田圃の畦道などに多く生えていて、山奥には自生はなく、稲作地帯に分布しているのもそれを物語っているように思える。

 彼岸の頃、毒々しい真っ赤な花が咲く時には葉っぱが無く、花が枯れると葉が出てくることから「葉見ず花見ず」といわれる。死人花、幽霊花と言われると忌み嫌う人が多いが、活け花として用いられることもある。このヒガンバナの造形美はすばらしいもので、自然の妙味・芸術としか思えないほどです。ぜひ、じっくり眺めてみてはいかがでしょうか。

TOPに戻る