「愛、深き淵より」 星野富弘

1年3組夢通信 NO・30 発行平成14年3月16日

 道徳の時間に星野富弘さんの「愛、深き淵より」の本の中から抜粋した文章と「詩画集」から特に有名な幾つかの絵と詩を紹介しました。また、「愛、深き淵より」の主要な部分を私が読んで聞かせました。口にペンをくわえて、字が書きたいと思うようになったきっかけについても話しました。
 
 最初は、ほんの数分で熱が出てそれ以上続けられなかったこと。字が書けるようになってから、今度は筆を加えて絵を描けるようになるまでの苦悩と努力。よだれをだらだら垂らしながらのすさまじい光景。何度死にたいと思ったか分からず、生きてる価値さえ見つからない日々。

 聞けば星野富弘さんを知らない生徒が大部分で、びっくりしました。「たった一度だけ、神様がこの腕を動かしてくださるとしたら、母の肩をたたかせてもらおう、風に揺れるペンペン草の実を見ていたら、そんな日が本当に来るような気がした。」一番有名なこの詩を読むと、自然に涙が出てきます。

 少し前に話題になった超ロングベストセラー「五体不満足」の乙武(おとたけ)さんにも共通する感動がそこにありました。「同情や、憐れみはいらない」「障害は不便だが、不幸ではない」。わずか2ヶ月余りの教員生活から、車椅子生活になった星野さん。絶望のどん底から、希望を見出すまでの長い長い苦悩の日々。想像を絶する生命力、そして生きることの意義や意味はどこにあるのかを考えさせてくれました。
 
 五体満足な人で、心に障害がある人の多い今の世の中。1年3組の生徒達が健全な心を持って、自分の可能性をどこまでも伸ばしてくれることを願っています。